買って損しない機械工学にかんする教科書14選

機械系技術

この記事では、買って損しない機械工学にかんする教科書を紹介しようと思います。

授業や自習などで、ある教科書を買おうかどうか迷うタイミングがどなたでもあると思います。もしお金があれば、興味があったり授業で指定された教科書を全て購入すればよいと思います。しかし実際にはそうではありません。そこでこの記事では、機械工学にかんする買って損しない教科書を紹介します。

どういう教科書が買って損しない教科書?

そもそも、どういう教科書が買って損しない教科書なのでしょうか。結論から言うと利用する機会が多い教科書が、より有用な教科書だと思います*1

まず教科書のレベルの面から考えます。教科書は多くの場合、ある分野の知識を得るために読みます。しかし同じ項目に対しても教科書によって「知る」というレベルが異なります。教科書は主に「概念を知るレベル」「初学者レベル」「一度学習した人レベル」の三つに分けられます。

多くの場合まず「概念を知る」ことによって、ある事項を勉強するメリットや具体的な内容のさわり、世界観を知ることができます。次に「初学者向け」の教科書を読むことによって、その事項に関しての基本的な知識を知ることができます。基本的な知識や概念、世界観をしっかりと抑えることができれば、その後その事項を勉強するさいに躓くことは少なくなります。その後、ある程度発展的な内容を学習するために「一度基本を学習した人向け」の教科書を用いることが効果的だと思います。

これらの三つのレベルのうち「概念を知る」ための教科書は見返す機会が非常に少ないように感じます。「概念を知る」ための教科書はある学問の世界観を身に着けるために読みますが、一度、世界観を身に着けるとその世界観の感覚が抜けることはあまりないからです。そのため、このような「概念を知る」ための教科書は残り二つのタイプの教科書よりも使う機会が少ないといえます。

このため、この記事では主に「初学者向け」の教科書と「一度基本を学習した人向け」の教科書を紹介しようと思います。

「初学者向け」の教科書や「一度基本を学習した人向け」の教科書は手元に残しておくのにオススメ

「概念を知る」学習には、教科書やネット上の講義pdfなど色々な方法があります。このなかでも無料のYouTube動画を利用するのもよいと思います。特に「予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」」というYouTubeチャンネルは、ある科目の「概念」や「世界観」を初めて理解する助けになると思います。

機械工学の俯瞰図

まず、機械工学つまり機械系の学問はどのような分野から構成されているでしょうか。機械系の学問はよく四力という分野で代表されます。四力とは力学、熱力学、材料力学、流体力学の四つから構成されます。この四つに制御工学を足した五つの分野、つまり力学、熱力学、材料力学、流体力学、制御工学が機械工学の中心であると考えてもらってよいと思います。これらの基本的な五つの分野の知識は、機械を作製する産業で役立てることを念頭にまとめられています*2。

これらの五つを中心として、これらを理解するための基本的な数学、物理やさらに発展的な内容が機械工学を構成しています。数学は汎用性が高いですが、内容が具体的になるにつれて学問の汎用性は低くなります。

機械工学の中心は、力学、熱力学、材料力学、流体力学、制御工学の五つとされることが多い。

教科書の位置づけ

世の中には、様々な学習のためのコンテンツがあふれています。これらの中で教科書はどのような位置を占めているでしょうか。

下の表を見てもらえるといいですが、教科書をもとに学習することでそこそこのコストで基本的な事項をおおよそ学ぶことができます。世の中にある講義pdfでも、より低いコストで同様の効果を得ることができるので、うまく講義pdfと教科書を併用するのがよいと思います。ただし、発展的な内容に関しては必ずしもその範囲をカバーしている教科書や講義pdfが存在するわけではないため、自習して学習することが比較的難しいです。

基本的な事項は教科書や講義pdfで学ぶことができる。発展的な内容は教科書で学ぶことは難しいことが多い。

講義pdfに関してはまとめている方がおられるので、そちらもご参照ください。

また、以下の2つのサイト(EMANの物理学、物理のかぎしっぽ)は、物理学の授業を復習する際や物理学を独学で学ぶ際に非常に役に立ちます。ぜひブラウザのお気に入りに登録して、わからない事項があれば活用してください。

買って損しない教科書 機械工学編

前置きが長くなりましたが、これからオススメの教科書を紹介していこうと思います。
まずは直接、機械工学と関連する分野の教科書を紹介します。

材料力学の基礎

初学者向け

書き方がしっかりしていてはじめは圧倒されますが、材料力学の内容がしっかりと一冊にまとまっている点がオススメです。

流れのすじがよくわかる 流体力学

初学者向け

ナビエ・ストークス方程式の導出などの基本的な点を、直感的なイメージと数式で初心者に紹介してくれています。

フィードバック制御入門

初学者向け
制御工学の基本である古典制御に関して学べます。この教科書はシステム制御工学シリーズのうちの一冊です。システム制御工学シリーズは、制御工学界隈では、非常によい教科書シリーズとして知られているようです。

JSMEテキストシリーズ

初学者向け

日本機械学会が出しているJSMEテキストシリーズは、機械工学を中心と視点から書かれていることが多いので、流体力学や熱力学などの理学部向けの教科書も存在する科目ではいい選択肢だと思います。例えば、JSMEテキストシリーズ制御工学では、制御工学の基本である古典制御と現代制御の両方が学べます。本の大きさが大きな点が持ち運ぶ上で少し難点です。

機械系大学院への四力・制御問題精選

一度基本を学習した人向け

大学の教科書には、演習問題が掲載されていることが多くはありません。この本は機械工学系向けの大学院入試用の問題集ですが、学習の定着度を測るために演習するためにもちょうどよいと思います。四力と制御工学といった、機械工学の核となる部分の問題が収録されています。

線形代数学

川久保勝夫

初学者向け

普通の線形代数学の教科書です。しかし、内容が癖がなくスマートにまとまっているので、初めて線形代数学を学ぶ際や復習をするとき*3に非常にオススメです。この教科書を終えたときに、線形代数が苦手ということはないと思います。

統計学入門(基礎統計学Ⅰ)

東京大学出版会

一度基本を学習した人向け

内容がコンパクトにまとまっているので、統計学にかんする事項を復習したいときに手元にあると非常に重宝する一冊です。

買って損しない教科書 物理編

以降では機械工学に密接に関係する物理学の教科書を紹介します。

解析力学

東京図書

初学者向け

解析力学の背景をしっかり知っておきたいと思った際に、非常にわかりやすく勉強できる教科書です。機械工学を学んでいるからと言って、必ずしも知っている必要がある内容ではありません。

力学 ランダウ=リフシッツ理論物理学教程

ランダウ、リフシッツ

一度基本を学習した人向け

はじめて力学を勉強するなら絶対にやめたほうがいい本ではあります。しかし、内容の簡潔さや深さから根強い人気があります。しっかりと力学を学びたいという方にオススメです*4

電磁気学(物理テキストシリーズ4)

初学者向け

マクスウェル方程式の導出や、電磁気学の計算で必要となるガウスの定理やストークスの定理を直感的に紹介してくれます。初めて電磁気学を学ぶ際に、説明が初心者向けでありながらも、適度に詳しくて書いてあり理解がしやすいです。

理論電磁気学

一度基本を学習した人向け

様々な題材が取り上げられていますが、機械系の学生に必ずしも必要とされるレベルではありません。

量子論の基礎 その本質のやさしい理解のために

初学者向け

量子力学の基礎となる計算方法やブラケットなどの記法から説明を始めてくれます。量子力学の概念を初めて知るときに無理なくスムーズに学習できます*5

現代の量子力学(上)

一度基本を学習した人向け

実際に、量子力学に関する題材を学べます。構成は上で挙げた量子論の基礎と似ており、ブラケットの導入から始まります*6

熱力学 現代的な視点から

一度基本を学習した人向け

理学部向けの熱力学の教科書。熱力学は理学部向けと工学部向けが存在するので注意が必要な分野です。理学部向けの熱力学ではより抽象的な熱力学を学習するようで、熱力学の適用例*7は機械工学部向けよりも多いです。その代わり、熱サイクルなどの具体的な説明は少ないので、まずひととおり機械工学を学びたい人には必ずしもオススメできるわけではないです。

統計力学(1)(2)(新物理学シリーズ)

一度基本を学習した人向け

平衡統計力学は、熱力学と関連しミクロな視点から熱力学変数を説明する学問です。名前のわりに普通の統計や力学とは直接関係があるわけではありません。熱力学に関するシミュレーションや量子力学を考えると修得しておいては損はありません。

おわりに

この記事では、買って損しない機械工学の教科書を紹介しました。機械工学にかんする全ての分野に関してオススメの教科書を紹介できてはいません。しかし、この記事が機械工学の学習の助けとなることができれば幸いです。

*1:また多くの場合、このような教科書は中古でも価格が落ちづらいという面があります。つまり、もし手放すとしても古本屋で値段がつかないということは少ないはずです。

*2:イメージしやすい具体例を挙げると力学は、動力の伝達など。熱力学はエアコンや内燃機関などの効率など。材料力学は材料の想定される変形量など。流体力学は流体の輸送など。制御工学はモータの制御などにそれぞれ用いられます。機械工学科を出た際の就職先のイメージは、次の記事を参照願います。

motor-actuator.com

*3:おもに対角化くらいまで

*4:内容は深いと言われていわれており、式変形を追えたとしてもその式変形の意味を理解するのが難しいです。また取り上げられている題材も多様で、機械系の学生である私にはなぜ取り上げりあげられているのかわからない題材も多いです。

*5:ただし一般的には、初めて量子力学を学習する際は、シュレーディンガー方程式から始まる教材から手を付けることが多いと思います。

*6:下巻も存在しますが、そちらは読んだことはありません。

*7:機械工学で主に扱われる熱サイクルだけでなく、磁気のヒステリシスや電気化学的な例

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