【学部一年向け】機械系学科で学ぶこと【勉強方法】

機械工学

 今回の記事では、機械系の工学科で学ぶ上で学部一年の間に習得しておいたほうがよい最低限の事項を紹介していこうと思います。

 機械系学科としては、例えば機械工学科、航空宇宙工学科などがあります*1。これらの学科で大学一年生で学んだほうがよい 事項に関して簡単に紹介します。

機械系学科で学ぶこととは

 まず、機械工学つまり機械系の学問はどのような分野から構成されているでしょうか。機械系の学問はよく四力という分野で代表されます。四力とは力学、熱力学、材料力学、流体力学の四つから構成されます。この四つに制御工学を足した五つの分野、つまり力学、熱力学、材料力学、流体力学、制御工学が機械工学の中心であると考えてもらってよいと思います。これらの五つの分野の知識は、機械を製作する産業で役立てることを念頭にまとめられています*2

 これらの五つを中心として、これらを理解するための基本的な数学や物理、さらに発展的な内容が機械工学を構成しています。数学は汎用性が高いですが、内容が具体的になるにつれて学問の汎用性は低くなります。

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機械工学の中心は、力学、熱力学、材料力学、流体力学、制御工学の五つとされることが多い。

機械系学科で学部一年生で学ぶこと

 機械系学科で学部一年生で学ぶことを、大まかに分けると以下の4つになります。
1.基本的な物理学(古典物理学/電磁気学)
2.基本的な数学(線形代数学/微分積分学)
3.語学(英語/第二外国語)
4.一般教養科目(地理/歴史など)
 まとめると以下の図のようになります。「1.基本的な物理学」や「2.基本的な数学」の内容は二年目以降に学ぶ内容の基礎となります。このため、しっかりと学んでおく必要があります。この記事では、この二点について詳しく紹介していこうと思います。
 語学や一般教養科目は二年目以降で学ぶ内容に、あまり影響は及ぼしません。このため、この記事では紹介しません。ただし、語学に関しては、単位を取得しておかないと面倒なことになりがちです。

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機械系学科で学部一年で学ぶことのイメージ

基本的な物理学

 基本的な物理学とは、古典や電磁気学のことです。機械系では、この二つのうち古典力学は特に重要です*3
 工学では、最終的にモノ*4を作ります。このモノ作りには、自然の法則の理解が有用です。このため、自然現象を表現することができる物理学は、工学において非常に重要な道具の一つです。
 ここでは物理学に関するYoutubeチャンネル、インターネット上のサイト、教科書を紹介します。
 物理学は自然現象を記述する学問です。このため、自然現象の観測である実験が、物理学においては重要な役割を果たします*5。しかし実験を教科書やYouTubeなどのコンテンツで学ぶことは難しく、今回紹介することができません。

YouTubeチャンネル「ヨビノリ」

 まずYouTubeチャンネル「ヨビノリ(予備校のノリで学ぶ大学の数学・物理)」を紹介します。教育系YouTuberであるタクミ*6によるレベルの高い講義を、YouTubeで無料で見ることができます。
 物理学を独学する際には、世界観を知ることに苦労します。「ヨビノリ」の講義を活用することで、この苦労を低減することができます。非常にオススメです。
 このため、ある程度独学で物理を学ぶのであれば、「まずはヨビノリの動画で外観を掴んで」から、「入門書的な教科書で文字を読むを学習する」のが効率がよいと思います。また、入門的な内容であれば、大学の授業に対する補習としてヨビノリを活用することもできます。
 「ヨビノリ 古典力学」で検索すると、「【大学物理】力学入門①(はじめに)【力学】」というシリーズがヒットします。この動画シリーズの内容が、まさに古典力学です。機械系の大学一年生は、まずこの動画シリーズで学習するとよいと思います。

EMANの物理学、物理のかぎしっぽ

 次にインターネットサイトです。以下の二つの物理学に関するサイトは、インターネット上で無料で閲覧できます。多くの大学生がこれらのサイトに助けられています*7教科書やヨビノリの授業で不明な点があれば、これらのサイトを参照するといいと思います。

 EMANの物理学

 物理のかぎしっぽ

物理学入門コース(岩波書店)

 最後に教科書を紹介しますが、教科書に関しては、正直、大学で紹介されたものを購入すればよいと思います。教科書を利用すると、体系的に学習を進めることができるという利点があります。岩波書店は、有名な出版会社です。このため、岩波書店の入門書を購入しておけば大きな後悔をすることはないと思います。

基本的な数学(線形代数学/微分積分学)

 物理学は、数式を用いて表現されます。このため、物理学を学ぶためには基本的な数学を理解しておくことが重要です。基本的な数学としては、線形代数学や微積分があります。
 数学は、一人で学ぶのが比較的難しいと思います。ある程度一人で完結して学ぶ際に役に立つ教科書やインターネット上の資料を紹介します。
 学部一年で学ぶ数学を独学するのであれば、チャート式シリーズかマセマシリーズを進めるのが良いと思います。また、数学の独学には、物理の項目で紹介したYouTubeチャンネル「ヨビノリ」も役に立つと思います。

チャート式シリーズ大学教養 線形代数/微分積分

 まず、チャート式シリーズ 大学教養 線形代数/微分積分です。どちらの教科書も内容としては、学部一年で習う内容に対して必要十分です。チャート式はもともと高校生向けの参考書です。このため、チャート式を利用したことなくても、他の教科書と比較すると高校時代の参考書に似た雰囲気で学習を進めることができると思います。

マセマシリーズ

 次に、マセマシリーズです。このマセマシリーズは、大学向けの参考書で最も分かりやすいと言われています。分からない分野がある場合は、このシリーズの本を大学の図書館読んでみると良いと思います。
 例えば、古典力学を学習には、常微分方程式知識が必要です。しかし、一般的に大学一年生にはそのような知識はありません。このようなときに、マセマシリーズの「常微分方程式」を学習すると、古典力学の学習に必要な式操作を理解することができるようになります。

これならわかる工学部で学ぶ数学

 3つ目は、「これならわかる工学部で学ぶ数学」です。工学部で学ぶ数学について、まとめられています。内容がまとめられている分、学部1年向けというわけではありませんが、学部2年以降でどのような内容を学ぶかを知る指標となると思います。

力学 ランダウ=リフリッツ理論物理学教程

 内容が難しいので、一人で読む人は少ないと思います。この本を使って自主ゼミのようなことを行うと、物理学の好きな知り合いを作るきっかけになります。

Math book(数学:物理を楽しむために)

 最後に、インターネットで入手できる無料の教科書を紹介します。学習院大学の田崎晴信教授*8の「Math book(数学:物理を楽しむために)」です。量も多いので、学部1年でいきなり手をつけるのは難しいですが、物理学を学んでいくうえで必要な数学を知ることができます。

おわりに

今回は、機械系学科で学部一年で学ぶ内容と簡単な学習ツールの一例を紹介しました。今回の記事が、みなさんの学習の役に立てば幸いです。

 

*1:他にも、機械〇〇コースなどの形で学科内のコースとして、存在することもあります

*2:イメージしやすい具体例を挙げると力学は、自動車やロボットなど、あらゆる動力の伝達に関連します。熱力学は、エアコンや内燃機関などの効率に関連します。材料力学は、機械の部品に力がかがった際の材料の変形量の予測などに関連します。流体力学は、エンジンの冷却水などを含め流体の輸送に関連します。制御工学はロボットのモータの制御などに用いられます。

*3:社会的にCO2排出抑制のために電動化が促進されています。このため、電磁気学の知識が、機械系の分野でも、ますます重要になっていくと考えられます。

*4:ソフトウエアであることもあります。

*5:観測された自然現象と一致する物理法則が、正しい物理法則、物理モデルとなります。

*6:経歴的には、学部は横浜国立大学卒、修士は東大院卒、最終的に東大博士課程中退、編集者は東工大の修士卒のようです。

*7:ナブラやラプラシアンってどう導出するか知りたくなるタイミングが何度もあるはずです。その時に頼りになります。

*8:田崎晴信さんは、素晴らしい物理学の研究者ですし、 統計力学や熱力学といった分野で日本で最も有名な物理学の教科書を執筆されています。

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