東京エレクトロンの知名度?トヨタ自動車の知名度?企業の知名度

機械系技術

東京エレクトロンという会社をご存知ですか?*1
これに対してトヨタ自動車は、誰もが知る企業です。

東京エレクトロンの基本的な情報に関しては以下の記事をご参照ください。

 どちらも製造業に関する企業という共通点はございます。しかしトヨタの作っている自動車は身の回りにありますが、東京エレクトロンの作成している製品は身の回りにありません。そのため、この二つの企業の知名度には、大きな違いがあります。

しかし駅伝のテレビ放送におけるCMで東京エレクトロンという名前をよく聞く気もします。

そこで今回は東京エレクトロンがおこなっている広報活動を知っている限りまとめてみたいと思います。また、それぞれの宣伝についての効果を主観で評価してみたいと思います。この評価は、工学部の機械系の大学生が就活の前に「企業の名前」を知るという観点から完全な主観で評価します。

東京エレクトロンのやっている広報って何がある?

いきなりですが、東京エレクトロンの広報として知っているものを完全な主観で評価してみました。
(★~★★★★★までで評価、★が多いほど効果が高い)
★★☆☆☆ テレビCM(駅伝)
★★★☆☆ 学祭の公式パンフレットへの企業広告
★★★★★ 大学との共同研究
★★★☆☆ Youtuberへの企業案件

それではそれぞれの広報の方法について評価してみようと思います。

★★☆☆☆ テレビCM(駅伝)

まず企業の広告といえば思い浮かぶのはテレビCMです。この中でも、駅伝で東京エレクトロンはCMをおこなっています。しかし学生への知名度向上としてはイマイチです。駅伝を見る家庭で育った場合は別ですが、駅伝をテレビで見たことがある学生は多くないように感じます*2
旭化成、豊田自動織機、安川電機、コニカミノルタなど駅伝関係による企業広告に力を入れている企業は多くあります。駅伝を見たことがある学生は、このような企業の名前を駅伝のテレビ中継を通して知っています。しかし、多くの場合は駅伝以外の経路で企業名を知ることが多いようです。

★★★☆☆ 学祭の公式パンフレットへの企業広告

学祭の公式パンフレットへの企業の広告ですが、公式パンフレットは学生が目を通すので目にする機会は多いと思います。
私の通う大学ですと、130ページあるパンフレットのうち1ページ以上の広告を出している5社程度あります*3

例えば、私が通う大学の2017度の1ページ以上の広告を掲載する企業の一覧は以下の通りとなります。

  • 新日鐵住金
  • 西松屋チェーン
  • 東京エレクトロン
  • DMG森精機

また過去5年間のパンフレットの多くに東京エレクトロンと新日鐵住金が形成されていました。かつての記事で紹介したように半導体と鉄鋼はともに「産業のコメ」と呼ばれます。このような共通点を有するので二つの企業のキャッチフレーズをまとめてみました。

年度東京エレクトロン新日鐵住金
2013Beyound Imagination.限りない鉄の未来をめざす。
2014MADE IN JAPANを超えよう。鐵は金属の王なる哉
2015ここには、世界を魅了する夢の舞台が広がっている。亀は万年、鉄は永遠。
2016-未来につなごう、鉄の魔法を。
2017新たな道を切り拓き、世界の頂点をつかみとれ。未来もずっと、産業の米。

産業のコメについては以下の記事を参照してください。

★★★★★ 大学との共同研究

大学との共同研究は、企業の名前が広がりやすいように思いますし、研究開発に費用を費やしていると点で企業に対する印象もよくなる気がします*4
企業の名前が広がりやすい理由は単純で、学生間で研究の話をする際に名前があがるからです。
少し古いデータですが東京エレクトロンは研究開発費で日本で42位にランクインしています。

★★★☆☆ Youtuberへの企業案件

東京エレクトロンはYouruberグループであるQuiznockに企業案件として、「元素かるた選手権」や「元素はじめての買い物」といった企画を通じて広報をおこなっています。Quiznockは東京大学のクイズ同好会がもととなっているYouruberグループです。このグループのリーダーである伊沢さんは、開成高校在学時に高校生クイズを二連覇(2010年、2011年)したことやテレビ番組東大王に出演していることで有名です。グループや動画の特性上、勉強や知識の収集に興味があるそうをターゲットとしていると感じます。しかし、Youtuberの動画を見る大学生が多いとはいえないので効果の星は三つとしました。

元素かるた選手権は、「元素の特性」を上の句「元素名」を下の句としたかるたで、元素に関する知識が問われます。

元素初めてのお使いは、「指定された元素」を含む製品を購入してくるというゲームです。日常の製品がどのような元素から作成されているかという知識が問われます。
ケイ素(シリコン、Si)は半導体の材料となるのですが、ケイ素を指定された人物が東京エレクトロンに関係のある「半導体」関連製品ではなく、同じくケイ素からなる「ガラス」に関する製品を購入してくるという東京エレクトロン泣かせの動画ではあります。

おわりに

完全に主観ですが、機械系の学生のおおよそ50%が企業を知るタイミングというのは次の表の様になると思います。自動車や電気製品といった「身の回りにあるものを作成する企業は大学の入学以前」に、鉄鋼や重工業といった「従来の機械系の学問に近い製品を作成する企業は大学入学後」に、半導体製造業といった「大学と積極的に共同研究している企業は研究室に参加した後*5」に知る場合が多いと思います。

知る時期企業例知る理由
大学入学以前トヨタ自動車(自動車)製品が身の回りにあるから
大学入学以降~
研究室配属以前*6
新日鉄住金(鉄鋼)
三菱重工業(重工)
製品に関することを授業で扱うから
研究室配属後*7東京エレクトロン(半導体製造装置)大学と共同研究しているから

企業が直接的に学生に広告する手段としては、ほかに学内説明会を開催することや生協のお盆に宣伝を張るなどがあります。

色々な企業の広報の方法についてお知りになっていただけたと思います。

業界における企業の立ち位置や業界全体を知るためには、業界地図*8を使用するのが便利です。
東京エレクトロンを含む半導体製造装置業界に興味を持たれた方は、まず本屋さんで業界地図の半導体についてのページを読まれるといいと思います。

*1:このブログで、何度か半導体製造装置業界にかんして紹介してきたのですでにご存知かもしれません。

*2:「コニカミノルタや東京エレクトロンって駅伝のCMで見るよね」といっても反応してくれる人は少ないです。

*3:パンフレットの作成に携わった人の話によると、正確な値段は忘れましたが1ページの広告費は30万円程度で長期契約の場合は値引きがあった記憶があります。

*4:営業利益などの利益の高さを学生に対して喧伝する企業があります。しかし、学生は企業の株主になるのではなく従業員となるのですから、むしろ研究開発費などの高さを宣伝するべきと思います(利益が出ていないと株主に配慮して研究開発費を上げられないということは考えられますが。)。

*5:大学によるようですが大学四回生前後を想定してます。

*6:学部1~3回の時期

*7:学部4回生~の時期

*8:日経や東洋経済から出ているものがあります。

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