このシリーズは、電子工作の素人がVVVFインバータを作成するまでの記録です。
このため、内容が分かりやすい形にまとまっているわけでありません。
第0回では、VVVFインバータを作成したいと思った背景とどう進めていくかの概要を記録します。
2021年。世の新聞の見出しを、カーボンニュートラルや再エネが席巻しています。洋上風力発電は、注目されている再エネ電源の一つです。
「あれ?小さな風車なら、ベランダにおいて遊べるのでは?」と気づきました。しかしすぐに、「自作するのは、無理だな」と気づきました。
理由は主に二つあります。「①電力を制御する技術的な事項に対する理解が欠けている」、「②制御を実現するための電子回路の知識が不足している」からです。
しかし、あるとき次のような動画を見つけました。一般人がVVVFインバータ*1を作成しているのです。「VVVFインバータが作成できれば、小さな風力発電装置も作れるのではないか」との考えました。そこで、電子工作などの知識は全然ありませんが、まずはVVVFインバータを作りたいなと思います。
最終的な目標/夢
実現できるかどうか不明ですが、最終的な目標について2つ書いておきます。
①モータの可変速駆動で遊ぶ
VVVFインバータでモータの回転数を制御したりして遊んでみたいです。
かなりの気合が必要と思いますが、以下の本の内容まで到達できたらとても面白いだろうなと思っています。モチベーション維持のために購入しました。
ざっくりとしたイメージを下に示します。
②風車とバッテリーで遊ぶ
ベランダに風車をおいて、風の力でバッテリーを充電したりして遊んでみたいです。
ざっくりとしたイメージを下に示します。
風車とバッテリーで遊ぶイメージ
VVVFインバータとは?
VVVFインバータとは、直流電源から正弦波に近い交流電源を生み出す装置です。またVVVFインバータでは、この正弦波の実効値や周波数を変化させることができます。
このように電源の値を制御することが、電気モータの制御に不可欠です。また、太陽光や風力発電のような再エネ電源でも、系統に接続するために似たような装置が用いられています*2。
持っている知識
機械系の大学を卒業しています。このため、VVVFインバータに関わりそうな部分で言うと「古典制御理論」、「電子回路の初歩」、「微分方程式」に関する知識があります。
また、電験二種*3の学習を通して、「電気回路」「パワーエレクトロニクス」の知識を得ました。
電子回路の実技については、ArduinoでLEDを点灯させたことがある程度です。
VVVFインバータを作りたいと思ったきっかけ
冒頭に述べたとおり、なんとなくVVVFインバータが作りたいと思いました。YouTubeの電車の動画の影響が大きいです。
電験二種の学習を通して、電気回路やパワーエレクトロニクスの知識を身に着けました。そこで、VVVFインバータを自分でも作成できるのではないかと思い現在にいたります。
VVVFインバータをどう作るか
そもそもVVVFインバータの作り方を知りません。そこで、グーグルで「VVVF」と検索しました。すると下のサイトがヒットしました。
「幼女でもわかる」と関するだけあって、このサイトは非常に分かりやすく思います。電子回路の具体的な動作はよくわかりませんが、VVVFインバータに必要な要素がよくわかりました。また、電子工作に必要なものも少しだけ分かりました。
VVVFインバータに必要な要素
ここでは、装置を要素に分割していって考えていこうと思います。
VVVFインバータは、直流電源から可変電圧可変周波数の交流電源を作る装置です。全体をまとめると下の図のようなイメージとなります。それぞれを簡単に説明していきます。
CVCFインバータ
直流電源から定電圧定周波数の交流電源を作る装置を、CVCFインバータと呼びます。CVCFインバータの回路定数を調整できるようにすると、VVVFインバータになるようです*4。
(VVVFインバータ)=(CVCFインバータ)+(回路定数の調整)
CVCFインバータに必要な要素
CVCFインバータは、PWM信号でブリッジ回路を駆動することによって、交流を生み出します。
PWM信号は、正弦波と搬送波(三角波)を元に生み出されます。正弦波や搬送波は、直流電源から、作成されます。
まずは、正弦波や三角波の発振回路を作成することとしました。この部分は、以下の図で赤い線で囲っています。発振回路を作成できたら、徐々に作成できる回路を増やしていこうと思います。
電子工作に必要なもの
発信回路を作成するために手元にそろえる必要があるものを確認しました。
LTspice
フリーの回路シミュレーションソフトです。回路を作成する前に、回路がどのような動作をするかを確認することができます。
多くのネット上の人が使用しているようだったので知りました。まだ上手く扱えませんが、便利そうだと思います。
以下のようなサイトを参照しながら、使い方を学んでいます。
直流電源装置
まずは発信回路を作成する予定です。発振回路の動作には、直流電源が必要です。しかし直流電源は自作しません。そこで、直流電源を購入しました。
どう選定していいか分かりませんでしたが、Amazonで以下のものを購入しました。7,000円位でした。
オシロスコープ
回路が正常に動作しているかを確認するためには、回路上の電気的なパラメータ(電流、電圧、周波数など)を観測する必要があります。
直流電源と同様にどのように選定していいか分かりませんでしたが、Amazonで以下のものを購入しました。直流電源装置と同じく7,000円位でした。
Quimat 2.4"TFT デジタル オシロスコープ(組立完成品) 0-200KHz 5mV/Div-20V/Div感度 プローブ付き 9V DC オ シロスコープ Q15001
- メディア: エレクトロニクス
回路素子
抵抗やコンデンサ、オペアンプなどの回路素子を購入しました。
「電子回路設計 入門サイト」というサイトを参考にしてAmazonでセットの回路素子を購入しました。
例えば、抵抗の場合は以下のセットを購入しました。
電子部品は秋月電子通商で購入するのが、安いのかなと思っていました。色々と確認しましたが、電子工作で抵抗やコンデンサといった基本的な素子を購入するのであれば、「電子回路設計 入門サイト」で紹介されているようなAmazonのものの方が、コスパが良さそうだなと思いました。品質が低くてもいいからかなと思います。
ブレッドボードやジャンパ線、オシロスコープ用のプローブなどについても揃えました。
今後、買っていくもの
今後は、YouTuberであるイチケンさんの以下の動画を参考にして、機材を揃えていこうと思います。
図書館での情報収集
ここまでの情報をインターネット上で収集しました。更に具体的な情報を収集するために、図書館で図書を探しました。
主に次の3点を知ることができる本を探しました。
①LTspiceの使用方法を確認できる本
②発信回路の作成において具体的に参照できる本
③パワーエレクトロニクスについて理解できる本
以上の要請を元に、結果的に以下の本を借りました。
オーム社 LTspiceで学ぶ電子回路
LTspiceの基本的な利用方法が丁寧に記載されている印象をうけたため借りました。
- 作者:道雄, 渋谷
- 発売日: 2019/04/24
- メディア: 単行本
実教出版 電子回路概論
アンプを用いて、ウィーンブリッジ形発振回路などの発振回路が記載されていたので借りました。
First Stage 電子回路概論 (First Stageシリーズ)
- 発売日: 2015/09/15
- メディア: 単行本
朝倉書店 パワーエレクトロニクス入門
ゲートドライバ以降の、ブリッジ回路の理解があまりできていないと考えたため借りました。
おわりに
今回は、どのようにVVVFインバータの製作を進めていくかを記録しました。次回は、何らかの電子回路を実際に作成し、オシロスコープで電圧の波形などを確認したいと思います。
ある程度の頻度で活動が継続できたらと思います。