この記事では、鉄道業界の基本的な仕組みを紹介しようと思います。
この記事を読むことで、ニュースで取り上げられる鉄道関連の事柄がより深く
理解できるようになると思います。
この記事では、主に鉄道車両を中心として紹介します。
鉄道はだれが運行してる?
通勤や通学だけでなく、貨物の輸送などにも鉄道は用いられています。このように鉄道は、私たちの生活に鉄道は不可欠です。
このような鉄道を用いたサービスを提供している会社はJR各社や私鉄です。このような会社をこの記事では鉄道運行会社と呼びたいと思います。具体的には、JR東海(東海旅客鉄道)、JR東日本(東日本旅客鉄道)、JR貨物(日本貨物鉄道)、東京メトロなどが鉄道運行企業となります。
このような企業は鉄道を用いてサービスを提供していますが、電車や自動改札機などを作っているわけではありません*1。
電車や自動改札機のようなモノが、鉄道には不可欠です。このようにモノを作る企業をメーカーといいます。この記事では電車などを作製するメーカーを鉄道関連メーカーと呼びたいと思います。このため、鉄道運行会社が鉄道関連メーカーに電車などの作製を依頼することとなります。
鉄道運行会社と鉄道関連メーカーの関係
鉄道といえば電車です(もちろん、ディーゼルなどの内燃機関を動力とした車両も存在しましますが、わかりやすくここでは鉄道車両を総称する意味で電車としました。)。
電車を製造するのは、川崎重工や日立製作所などの鉄道車両メーカーです*2。それでは鉄道運行会社と鉄道車両メーカーは、どのような関係でしょうか。つまり、「JR東日本やJR東海、東京メトロ」と「川崎重工と日立製作所」はどのような関係でしょうか。
鉄道車両は非常に多くの部品から構成されます。例えば、車輪やモーター、液晶ディスプレイなどです。これらの部品は鉄道車両メーカーが、部品を選定するように思います。しかし、実際はそうではありません。下の図を見てください。鉄道を動かすモーターなどを選定するのは、鉄道車両メーカーではなく、鉄道運行会社なのです。
川崎重工などの鉄道車両メーカーは鉄道車両を完成させますが、モーターなどはJRなどの鉄道運行会社から預かるという形でおこなわれます。このため、東芝や三菱電機などのモーターメーカーの選定は、JRなどが行います。川崎重工や日立ではありません。逆にいうとモーターなどの不具合は、東芝や三菱電機などが調整します*3。
規制を作る人
世の中には、何事にも規制が存在します。鉄道には安全性が求められ、鉄道に関連する規制も存在します。そして基本的に規制はまず国ごとに作られます。
しかし、モノが世界中を行き来する社会で国ごとに規制があるのでは、モノを作製するメーカーにとっては手間となります。そのため本来、規制は国際的に統一できたほうが良いように思います。しかし、それは難しいことが多いのです。そのため、まず国ごとの規制のでき方を簡単に見てみようと思います。
ある製品に関する規制が少なければ少ないほどメーカーの新規参入が容易となるため、規制は国が一方的に作成するように思えます。しかし、規制の作成にはメーカーが関与します。
製品に関する情報なしに規制は生まれませんし、メーカーにとっても都合のいい規制が存在すれば、市場への参入障壁となるからです。このため、規制に合わせてメーカーが製品を作るという面もありますが、製品を実際に作製できるように逆に規制を作成するという側面も存在するのです。
製品が存在できないほど厳しい規制は、規制自体に存在する意味がありません。
そのため、安全性などのための規制は万国共通にできるような気がしますができません。なぜなら規制は時代に合わせて、各々の国とその国のメーカーが作り上げてきたものだからです。
おわりに
鉄道を運行する会社はJRなどであり、鉄道車両を製造するメーカーは川崎重工や日立製作所であることを紹介しました。
日本の製品に関する規制は、日本のメーカーに特別な不都合となるようにはなっていません。なぜなら日本のメーカーに不都合となり海外のメーカーに利するだけで、日本への恩恵がない規制を日本が作る意味が薄いからです。
また、規制によって海外市場に参入する難しさについて、以下の記事でより詳しく紹介しています。この記事が、鉄道車両メーカーに関する理解の一助となれば幸いです。